2024/8/20

夏に多発する膀胱炎│【女性泌尿器科】(越谷・春日部)

~夏の気温上昇と膀胱炎リスクの関係性~

毎年暑さが続くこの季節、膀胱炎の発症率が増加することをご存知でしょうか?
温暖化が進む近年では夏場の気温は上昇し、今年も記録的な猛暑日が続いています。

暑さによって私たちは大量の汗をかきますが、汗は、その99%が体内にある水分です。
汗をかくことで体内の水分が失われると、尿量が減少して膀胱炎のリスクを高めるため、注意が必要になります。

本日は、夏に膀胱炎が多発する理由や、その予防策についてご説明させていただきます。

~水分不足が引き起こす膀胱炎リスク~

膀胱炎は、外部から侵入した細菌が膀胱内に入り、そこで繁殖して炎症が起こる病気です。
通常は膀胱内に細菌が入っても、尿を排出することで一緒に流れていきますが、汗をかいて体内の水分が失われると、排出できる尿量が減少します。尿量が減少すると、尿の濃度が高くなり(尿が濃くなり)、膀胱内に細菌がたまりやすい状態になります。

また、膀胱炎は水分摂取量の不足や、排尿習慣が原因で発症することが多いと言われています。
普段水をあまり飲まないトイレに行く回数が少ない排尿時に尿を完全に出し切らない人は、膀胱内で細菌が増殖して、膀胱炎が発症しやすくなります。

膀胱炎は再発を繰り返すことが多く、また、症状を放置すると重症化して腎盂腎炎を引き起こす危険性があります。
そのため、膀胱炎になったら必ず治療を受けることと、上述したような生活スタイルを改善して、再発を防ぐことが大切になります。

~膀胱炎の種類~

膀胱炎にはいくつかの種類がありますが、代表される二つの種類を以下にあげます。

1.急性膀胱炎(単純性膀胱炎)主に細菌感染(大腸菌)が原因で引き起こされます。特に女性に多く、水分不足や、月経時に陰部が不衛生な状態になることをきっかけに起こることも多いと言われています。排尿時の痛みや頻尿、尿の混濁などが主な症状です。

2.慢性膀胱炎(複雑性膀胱炎)急性膀胱炎が繰り返し発症し、長期にわたって続く状態を指します。一度発症した膀胱炎が完全に治癒しない場合に慢性化する場合と、尿道に関する特定の要因や基礎疾患が原因で、尿の流れが悪くなることで起こる場合があります。
原因となる主な病気には、前立性肥大症膀胱結石、神経因性膀胱、前立腺がん膀胱がん、膀胱や尿道に先天的な異常がある場合などがあげられます。
症状は急性膀胱炎ほど強くはありませんが、下腹部の不快感、頻尿、残尿感、尿の混濁などがあげられます。

~夏の膀胱炎を防ぐためのポイント~

  • 十分な水分補給

    夏は汗をかくことで体内の水分が失われやすくなります。脱水状態になると尿の濃縮が進み、膀胱炎のリスクが高まります。こまめに水分を補給して、尿を薄めて細菌の増殖を防ぐことと、細菌を尿で排出するための排尿量を増やすことが大切になります。

  • トイレを我慢しない

    冷房の効いた部屋にいると体を動かす機会も減りがちになりますが、長時間トイレに行かないことや、トイレを我慢することは、膀胱内で細菌が増殖しやすくなる原因となります。水分を飲んで尿量が増えても、外に排出しなければ予防効果はありません。こまめに水を飲むことを意識しながら、排尿の間隔が空きすぎないよう、トイレに行く習慣をつけることが大切になります。

  • 湿気や汗を避ける

    汗をかいたり、湿ったままの下着を長時間着用していると、そこで細菌が増殖しやすくなります。汗をかいたあとや、汗で衣類が湿っている場合は、できるだけ早く乾いた衣服に着替えるようにしましょう。また特に、女性は尿道が短いため細菌が膀胱に侵入しやすく、月経時などには陰部を不衛生な状態にしないように注意することが大切になります。

  • 体を冷やしすぎない

    冷房の効いた部屋に長時間いると、体が冷えて血流が悪くなり、免疫力が低下する場合があります。膀胱炎予防のためにも、適度な温度で過ごすよう心掛け、薄手の上着を用意するなど、冷え対策を行うことを推奨いたします。

  • カフェインやアルコールの摂取量を普段よりも控える

    カフェインやアルコールには一時的な利尿作用がありますが、その後体内は脱水状態になります。夏場は汗をかいて、普段よりも体内の水分が奪われがちです。そこにカフェインやアルコールによる脱水が加わると、そのぶん尿の濃縮が進みやすくなり、膀胱炎のリスクが高まります。夏場はこれらの飲料を普段よりも控えることや、飲むときは同時に水を多めにとるなどして対策することが大切になります。

~おわりに~

年々夏の暑さは厳しさを増していて、今年の夏も深刻な猛暑日が続きますが、暑さとともに膀胱炎は増加する傾向があります。ですが、こまめな水分補給や適切な衛生管理、体を冷やさない工夫をすることで、膀胱炎のリスクを減らすことはできます。

膀胱炎を予防するための習慣を意識して取り入れていただき、暑い夏でも快適に過ごしましょう。

万が一症状が現れた場合は、早めに泌尿器科を受診して、適切な治療を受けることが大切です。健康な夏を過ごすために、日々の生活習慣を見直してみてください。

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