2023/12/18
排尿症状に発熱を伴います ~腎盂腎炎~│【女性泌尿器科】(越谷・春日部)
いわさ泌尿器科クリニック(越谷・春日部)です。
女性の泌尿器に関する疾患は様々ありますが、なかでも一般的なものは、尿路感染症です。
これは女性の尿道が男性よりも短く、外部からの細菌が膀胱に到達しやすいためです。
尿路感染症のなかでも、最も多いのが膀胱炎(下部尿路感染症)ですが、
さらに重症化すると腎盂腎炎(上部尿路感染症)を引き起こします。
これは腎臓に感染が及ぶ状態で、発熱や腰痛を伴います。
抗生剤の投与なしでは治癒せず、適切なタイミングで、適切な治療が必要になります。
腎盂腎炎(じんうじんえん)について、ご説明させていただきます。
~腎盂腎炎とは~
腎盂腎炎は、尿道から侵入した細菌が膀胱を越えて尿管をさかのぼり、
尿管と腎臓の境目である腎盂まで達して腎臓感染を起こした状態です。
もっとも多い原因菌は大腸菌になります。
膀胱炎の症状に発熱を伴う場合は疑う必要があり、
早めに、適切に治療が行われないと重症化する場合が多く、注意が必要になります。
繰り返しになりますが、女性は尿道が短いうえに肛門と尿道の距離が近く、
大腸菌が膀胱まで到達しやすいため、男性よりも尿路感染症になりやすく、
腎盂腎炎を引き起こしやすい特徴があります。
~腎盂腎炎の症状~
- 排尿時痛
- 頻尿
- 残尿感
- 下腹部痛
- 発熱(時に40度近くになる場合もあります)
- 全身の倦怠感
- 腎周辺の腰や背中の痛み
- 悪心や嘔吐
膀胱炎と同様の症状(※自覚しない場合もあります)に加えて、発熱や腰痛など全身症状が現れます。
悪化すると、悪心や嘔吐などの消火器症状を認める場合もあります。
また、子供やお年寄りでは脱水による意識障害がみられることもあります。
~腎盂腎炎になりやすい人の特徴や状況~
- 全年齢における女性
- 膀胱炎が無症状のかた
- 月経時や、性交後に陰部が不衛生になる場合
- 妊娠(子宮増大により、尿管が圧迫されて尿の流れが悪くなるため)
- 疲労やストレスによる免疫力の低下
- 尿路結石や腫瘍のある場合
- 前立腺肥大症がある男性
また、特に糖尿病、尿路結石、前立腺肥大症など、尿路感染を起こしやすい疾患を持つかたが腎盂腎炎を発症させた場合には重症化しやすいため、注意が必要になります。
~検査~
検査は、尿検査、血液検査、超音波(エコー)検査を行います。
~治療~
腎盂腎炎の治療の主体は抗菌薬の投与です。
全身の状態が比較的良好な軽症の場合には、外来通院で抗菌薬の点滴や内服による治療を行います。
しかし、高熱が持続して、食欲不振や脱水、全身に倦怠感を伴う重症の場合には、入院のうえ治療が必要になります。
検査や症状の程度により、診断や治療方針の決定を行います。
また、入院が必要な場合は提携医療機関へのご紹介等の対応をしてまいります。
~予防~
- 排尿を我慢しない
- 適切な水分補給を行う
- 月経時には、外陰部を清潔に保つ
- 性交後に排尿を行い(侵入した細菌を排出させる)、シャワーで洗う
- 睡眠をしっかりとるなどして、疲れを溜めないようにする
腎盂腎炎は抗生剤の投与が必要で、自然に治癒することはありません。
前述のような症状や、排尿症状を伴う発熱を認めた場合には、
できるだけ早く泌尿器科を受診して、適切な治療を受けるようにしてください。
治療のタイミングが遅れると、治療に時間がかかるだけではなく、
大切な腎機能が低下するという後遺症が残ってしまうため、
重症化する前の、適切な治療が不可欠となります。
いわさ泌尿器科クリニック には、越谷・春日部・さいたま市などから来院されます
※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。