2014/12/1
過活動膀胱について(泌尿器科)
過活動膀胱は「急に、がまんできないような尿意が起きる」、「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなり、がまんができず尿が漏れてしまうことがある」などの症状を示す病気で、前立腺肥大症のある人の50~75%には過活動膀胱の症状があると言われます。
過活動膀胱とは?(症状)
過活動膀胱は下に示す「尿意切迫感」があり、しばしば「頻尿」を伴い、ときに「切迫性尿失禁」をきたす病気です。
(1)急に、尿意をもよおし、もれそうでがまんできない(尿意切迫感)
(2)トイレが近い(頻尿)、夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
人がトイレへ行く回数は、日中で5~7回、寝ている間は0回が正常と言われています。
日中8回以上トイレに行き、夜間も1回以上おしっこのために起きるようなら、それは頻尿(夜間頻尿)と言えます。
(3)急に尿をしたくなり、トイレまでがまんできずもれてしまうことがある(切迫性尿失禁(尿もれ))
尿意切迫感だけでなく、場合によってはトイレまで我慢できずに尿が漏れてしまうこともあります。
患者数
40歳以上の男女の8人に1人が、過活動膀胱の症状をもっていることが、最近の調査でわかりました。
実際の患者さんの数は、800万人以上ということになります。
この中で、切迫性尿失禁がある人は、約半分でした。
男性の場合、前立腺肥大症があって過活動膀胱の症状がある人と、前立腺肥大症はなく過活動膀胱の症状だけがある人がいます
原因
過活動膀胱には、脳と膀胱(尿道)を結ぶ神経のトラブルで起こる「神経因性」のものと、それ以外の原因で起こる「非神経因性」のものがあります。
(1)神経因性過活動膀胱(神経のトラブルが原因)
脳卒中や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの脳の障害、脊髄損傷や多発性硬化症などの脊髄の障害の後遺症により、脳と膀胱(尿道)の筋肉を結ぶ神経の回路に障害が起きると、「膀胱に尿がたまったよ」「まだ出してはいけないよ」「もう出していいよ」「膀胱を緩めるよ(締めるよ)」「尿道を締めるよ(緩めるよ)」といった信号のやりとりが正常にはたらかなくなります。
(2)非神経因性過活動膀胱(神経トラブルとは関係ない原因)
○前立腺肥大症が関連したもの
前立腺肥大症などで尿が出にくい状態(下部尿路閉塞)が続くと、排尿のたびに、出にくい尿をなんとか出そうとがんばる膀胱に負担がかかることになります。
これが繰り返された結果、膀胱の筋肉が異常をきたし、少しの刺激にも過敏な反応をするようになり、過活動膀胱が起きます。
○骨盤底筋のトラブル(女性に多い)
女性の場合、加齢や出産によって、膀胱・子宮・尿道などを支えている骨盤底筋が弱くなったり傷んだりすることがあります。
そのために排尿のメカニズムがうまくはたらかなくなり、過活動膀胱が起きます。
○それ以外の原因
上記以外の何らかの原因で膀胱の神経が過敏にはたらいてしまう場合や、原因が特定できない場合もあります。
いくつかの原因が複雑にからみあっていると考えられています。この原因の特定できないものや加齢によるものが、実際には最も多く存在しています。
診断と治療
前立腺肥大症と同様に、医師が問診や検査によって診断します。
前立腺肥大症のある方は、まずは前立腺肥大症の治療を行い、効果が十分でないときに、過活動膀胱を考えた治療を加えたり、切り替えたりします。
治療には薬による治療、その他、行動療法といわれる治療法があります。
詳しくはこちらのサイトもご参照ください。