2025/3/19

【尿トラブルを防ぐ!】コーヒーやアルコールの適切な摂取量と注意点│一般泌尿器科(越谷・春日部)

身近な飲み物として、幅広い世代に親しまれているコーヒーやアルコール。コーヒーは眠気覚ましや集中力の向上、気分転換のために、アルコールはリラックスや社交の場を楽しむために飲まれるかたも多いかと思います。

コーヒーやアルコールに含まれる「利尿作用」は、適量であれば健康に良いとされる一方で、摂取の仕方によっては身体に負担をかけてしまう場合があります。

普段から頻尿尿もれが気になっている人や、摂取のしかたを見直したい人は、どのような飲み方を心がけたらいいのでしょうか。本記事では、利尿作用のメカニズムや、飲む量やタイミングなど、上手にコーヒーやアルコールと付き合う方法についてご紹介します。

コーヒーが持つ利尿作用

コーヒーにカフェインが含まれることは、多くの人が認識されていることかと思います。カフェインには、覚醒作用(眠気覚ましなど脳に対する作用)、血管収縮作用(頭痛を軽減するなど血管に対する作用)、利尿作用(尿の形成を行う腎臓に対する作用)などの作用があります。

腎臓は、血液をろ過して余分な水分や老廃物をこしだし尿の形成を行います。そもそも、腎臓に入る水分はほぼすべて再吸収され、尿として排泄されるのはわずか約1.5~2%程度になります。

しかし、カフェインにはこの腎臓で行われる再吸収を抑制する働きがあります。そうすると、本来は体内に戻るはずだった水分が再吸収されずに排泄されるため、結果的に尿の生成量が増え、排尿量の増加頻尿に繋がります。そのため、普段から頻尿尿漏れなどの排尿症状を持つ人は、症状を悪化させてしまう場合があります。

アルコールが持つ利尿作用

アルコールには、抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑制する作用があります。抗利尿ホルモンとは、脳内の下垂体後葉という部分から分泌されるホルモンで、尿量を少なくする作用があります。これによって、体内の水分量を調節する役割を担っています。

しかし、アルコールにより抗利尿ホルモンの分泌が低下すると、腎臓内で尿の再吸収が抑制され(腎臓からの水分排泄が促進され)、その結果、尿量の増加頻尿が起こります。

また、アルコールには膀胱粘膜を刺激する作用があるため、尿意を強く感じることや、排尿症状が悪化することがあります。そのため膀胱炎を治療中の人、前立腺炎前立腺肥大症の人は注意する必要があります。

コーヒーやアルコールを楽しむために

~適量と飲むタイミング~

コーヒーもアルコールも、適切な摂取量と摂取のタイミングを意識することが大切です。それぞれの適量とタイミング、その他の工夫を以下にあげます。

    【コーヒーの場合】
  • 1日最大400mg(マグカップ3杯)までに

    健康な成人の場合、1日のカフェイン摂取量が400mg程度であれば、健康への影響はないと言われています。ただし、カフェインはコーヒー以外にも煎茶やほうじ茶、紅茶、エナジードリンクなどにも含まれているため、全体の摂取量を意識しながら飲むことが推奨されます。

  • 飲む時間帯は昼間に

    夕食後や寝る前にカフェインを摂取すると、利尿作用によって夜間頻尿の原因になる可能性があります。人によってはカフェインの覚醒作用が長く続くこともあるため、なるべく昼間にコーヒーを楽しむことが推奨されます。

  • デカフェを代用

    仕事終わりに一息付きたい場合や寝る前のリラックスタイムには、カフェインレスコーヒーがおすすめです。カフェインレスコーヒーとはカフェイン含有量が少ないコーヒーを指し、日本では「カフェインを90%以上取り除いたもの」と定義されます。最近はカフェインレスの種類も豊富ですので、頻尿対策に一度試してみてはいかがでしょうか。

  • 水分補給をしっかりとする

    カフェインの利尿作用により体内の水分量が減ると、脱水状態になりやすくなります。脱水状態は膀胱炎リスクを高めるため、水や、カフェインが入っていない飲料で水分補給を忘れずに行うことを推奨します。

    【アルコールの場合】
  • 1日の適量を意識する

    アルコールの適量は体質や年齢・性別などによって異なりますが、厚生労働省の指針では1日の適度な飲酒量は純アルコールで約20g程度とされています。これは以下の量に相当します。

    • ビール(5%):中瓶1本(500ml)
    • 日本酒(15%):1合(180ml)
    • ワイン(12%):グラス2杯(約200ml)
    • 焼酎(25%):0.6合(約110ml)
    • ウイスキー・ブランデー(40%):ダブル1杯(約60ml)

    過剰な飲酒は控えることが推奨されます。

  • 就寝前の飲酒は控える

    アルコールが含む抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌を抑制する作用により、飲酒後は尿の生成量が増加します。特に就寝直前の飲酒は夜間頻尿の原因となる可能性があるため、就寝4時間前を目安に飲酒を終えることが推奨されます。

  • 水分補給をしっかりとする

    アルコールを飲むと、体内の水分が尿として排出されやすくなります。特にビールは1L飲むと1.1Lの水分を失うとされており、結果として脱水状態に陥ることがあります。そのため、アルコールを飲む際は同時に水をこまめに摂取することが大切です。

尿トラブルがある人におすすめの飲み物

コーヒーやアルコールの摂取を控えることは、尿トラブルの予防や改善につながります。
嗜好品の一つとして楽しみたい方も多いと思いますが、可能な範囲で以下の飲み物を代用すると、排尿トラブルを軽減できる可能性があります。

  • 麦茶・ルイボスティー

    カフェインを含まない麦茶やルイボスティーは、膀胱への刺激が少なく、安心して飲めます

  • 牛乳・豆乳

    牛乳や豆乳はカフェインを含まず、腸内環境を整える効果も期待できます。夜はホットミルクを取り入れると、リラックス効果も高まります

  • ハーブティー

    カモミールやペパーミントティーなどのハーブティーにはリラックス効果があり、睡眠の質を向上させる作用もあります。ノンカフェインなので、頻尿の方も安心して飲むことができます

  • 水(常温・白湯)

    冷たい飲み物は特に膀胱を刺激しやすいため、常温または温かいものを選ぶ

~まとめ~

コーヒーやアルコールは、利尿作用や膀胱・前立腺への刺激作用があり、尿トラブルを悪化させてしまう可能性があります。
特に頻尿前立腺肥大症がある方は、摂取量やタイミングに気をつけることが大切です。カフェインレスの飲料や水、ハーブティーなどを代用することで、尿トラブルの予防にもつながります。
もし症状が続く場合や、気になる気になる症状が出ている場合は、クリニックまでお越しください。医師よりしっかりと説明をさせていただきます。

※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。

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