2024/10/8

寒くなる季節に注意したい前立腺肥大症 ~症状・診断・対策~ │【男性泌尿器科】(越谷・春日部)

~はじめに~

男性が泌尿器科を受診する疾患で最も多いのが前立腺肥大症です。

前立腺肥大症とは、前立腺が歳をとるにつれてだんだんと大きくなり、尿道を圧迫して尿が出にくくなる疾患です。 中高年男性に多く見られる疾患ですが、発症リスクは30代中盤あたりから少しずつ高まり、 50歳を過ぎるころから肥大することが多くなり、70代以降では7~8割の人に肥大が認められると言われています。

肥大が認められる場合、そのすべての方が治療を要する症状を伴うわけではありませんが、前立腺が肥大するにつれて膀胱や尿道を圧迫するため、さまざまな不快な症状を引き起こします。

また、前立腺肥大症は寒さによって症状が悪化する場合があります。 その理由は、寒さにより身体が冷えると、交感神経が刺激されて血管が収縮し、膀胱や尿道、前立腺の筋肉が緊張するためと言われています。

~正常な前立腺と前立腺肥大症~

前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、膀胱から出た尿道を取り囲んでいます。通常の前立腺はクルミ大ほどの大きさですが、肥大してくると鶏卵大、ゴルフボール大以上になります。

肥大が進むにつれて前立腺に囲まれる尿道が圧迫されて狭くなり、頻尿や尿が出にくくなる、尿を我慢できなくなる、などの排尿障害の症状が現れます。さらに症状が進むと尿が全くでなくなることもあります。

~前立腺肥大症の症状~

前立腺肥大症の症状は、「排尿症状(尿を出す)」「蓄尿症状(尿を溜める)」「排尿後症状(排尿後の症状)」に分けられます。 ※詳しくはこちら

進行度によって症状は異なり、初期・中期・慢性期の3つに分類されます。

    初期
    【軽症:膀胱刺激期】

  • トイレに行く回数が増えた
  • 尿の勢いが弱い
  • トイレに行ったばかりでもまたすぐに行きたくなる
  • など

これらの症状は、肥大した前立腺が膀胱や尿道を刺激するために引き起こされます。

    中期
    【中等症:残尿発生期】

  • 尿が出るまでに時間がかかる
  • 力まないと尿が出なくなった
  • 尿のキレが悪くなった
  • 途中で尿が途切れてしまう
  • など

これらの症状は、肥大した前立腺により、尿道が圧迫されて細くなることが原因と考えられています。症状が進むと尿を全て出し切ることが出来なくなり、排尿後も膀胱に尿が残る状態(残尿)になります。

    慢性期
    【重症:慢性閉塞期】

  • トイレに行く回数が1日10回以上など、非常に多くなった
  • 1回にかかるトイレの時間が数分になった
  • 尿が少量しか出ない
  • など

さらに症状が進むと、尿意があるのに排尿できない「尿閉」や、下腹部に膨満感や強い痛みが生じる場合があります。

~前立腺肥大症の診断方法~

前立腺肥大症の検査では、自覚症状としての排尿障害の程度を『国際前立腺症状スコア(IPSS)』という症状質問症を用いて問診を行います。

これにより症状の程度が判定され、合計点数が0〜8点は軽症、9〜20点は中等症、21点以上が重症の前立腺肥大と考えられています。 ※詳しくはこちら

~前立腺肥大症の予防と対策~

前立腺肥大症は、生活習慣の改善や、日常のセルフケアによって症状の軽減が期待できます。

  • 尿意を感じたらすぐトイレに行く
  • 身体を冷やさない
  • 長時間同じ姿勢で過ごさない
  • 便秘にならないようにする
  • 適度な運動を習慣づける
  • 適度な水分摂取を行い、過剰な摂取は控える
  • アルコールや刺激物の過剰な摂取は控える
  • ノンカフェインの飲み物を摂取する
  • 高脂肪、高たんぱくの生活を控える
  • 動物性たんぱく質の摂取を控えて、野菜中心の生活を心がける
  • イソフラボノイドを多く含む穀物や大豆などを摂取する

また、冒頭でご説明のとおり前立腺肥大症は、寒さで身体が冷えることによって症状が悪化する場合があります。前立腺肥大症の寒さに対する対策として以下にあげます。

  • 体を温める
    • 下半身を温める:

      寒さによって前立腺や膀胱の筋肉を緊張するため、厚手のズボンや温熱パッドなどを利用して下半身を保温する

    • 温かい飲み物を取る:

      冷たい飲み物はできるだけ避けて、温かい飲み物で体を内側から温める

  • 適度に運動を行う

    血行を促進し、体を温めることで前立腺への負担を減らします。ウォーキングなどの軽い運動が推奨されます。

  • 入浴をとる

    お風呂で体を温めることで全身の血行が改善され、前立腺周りの筋肉の緊張がほぐれます。特に、腰回りや下腹部を温めることが有効です。

  • 外出時は防寒対策をする

    寒さを感じる季節には、特に下半身を温めるために厚手のパンツやタイツ、暖かい靴下を着用して、身体を冷やさないことが重要です。下半身の防寒対策をしっかりと行うことで、前立腺周辺の血流を良くする効果があります。

これらの対策を心がけることで、前立腺肥大症の症状の悪化を軽減し、日常生活への影響を最小限に抑えることが期待できます。

~おわりに~

前立腺肥大症は、肥大の程度によって症状や治療の有無が分かれますが、症状に対して早期に対策を心がけることが大切です。市販薬や処方薬で前立腺肥大症の症状が悪化することもあるので、気になる症状がある場合は医師に相談することを推奨いたします。

健康な日常を維持するために、寒くなる季節への対策とセルフケアを心がけていただければと思います。

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