2014/12/6

尿路結石(尿管結石)について(泌尿器科)

尿路結石(尿管結石)とは?

日本でも食生活の欧米化で尿路結石は増え続けています。
尿管結石は起き上がれないほど痛く、脂汗を流して苦しむといわれています。
最初の痛みの発作は突然襲うことが多く、突然襲う激痛で救急車を呼び、病院に担ぎ込まれる患者さんも多いです。
しかし、病院に着いた頃には痛みがなくなっていることもあります。
そして、結石の痛みは万人に起こるのではなく、同じ人に何度も起こるのです。

尿路結石は、「尿路」に石ができる病気です。
尿路とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道になります。
このどこかに石ができることを「尿路結石」といい、結石のできる場所、結石の成分でタイプが分かれてきます。
尿中の結石成分の濃度が何らかの原因で過飽和状態になり、腎臓に結晶核が生じます。
その結晶が成長、凝集して結石となると考えられています。6割以上が男性の患者です。

石の成分は、尿に溶けこんでいるカルシウムやシュウ酸、リン酸などになります。
これらのミネラル物質が何らかの原因で結晶となり、有機物質も巻き込んで石のように固まってしまうのです。

石が出来る部位によって「上部尿路結石」と「下部尿路結石」に分かれます。
現在では約95%は前者、すなわち腎臓で形成され、またはこれが尿管に下降したものです。

後者の膀胱結石あるいは尿道結石は約5%のみで、しかも前立腺肥大症や尿道狭窄などの尿の出にくくなる状態の時にのみ出来ます。
8割の尿路結石は原因不明です。感染、代謝異常、ホルモン、薬など、原因のはっきりしているものもあります。

結晶の成分と種類

「石」といっても体に出来る石のこと、成分はいくつかあります。
そして、その成分によって色や形が違ってきます。成分を調べると発症の手掛かりがつかめるので、再発防止のために、自分の結石の分析結果を知っておく必要があります。

シュウ酸カルシウム

尿路結石のなかでも圧倒的に多いのかシュウ酸カルシウムを主成分としています。尿中のシュウ酸が増えることが最も悪影響を与えます。金平糖状あるいは表面がギサギサな形で、小さくても尿菅に引つ掛かりやすく、排出されにくいのが特徴。このタイプの石が尿路結石のおよそ8割を占めています。

リン酸カルシウム

尿がアルカリ性になった時に出来やすい石です。
純粋なものは殆ど無く、上記のシュウ酸カルシウムと共存していることが多くなります。

リン酸マグネシウムアンモニウム

尿緒感染が原因で、男性に比べて尿道の短い女性に多い結石の成分です。
尿素分解菌が尿素をアンモニアと炭酸ガスに分解。
アンモニアにより尿がアルカリ性になり、この成分の結石が形成されます。
いったんこの結石ができると、石が細菌を増やし、細菌は石を大きくさせる悪循環が起こり、腎盂腎杯の形そのままのサンゴ状結石へと成長していきます。

尿酸

尿が酸性になった時に出来やすい結石。痛風、高尿酸血症、高尿酸尿症などの人がなりやすく、尿をアルカリ性にすることで改善できます。

シスチン

尿路結石には遺伝性のものがいくつかあり、その代表的なものがシスチン結石です。硬くて体外衝撃波などで破砕しにくいのが特徴です。
これも尿をアルカリ性にすることで溶かすことが可能です。

自覚症状の特徴

激痛が特徴。
冷汗、吐き気を伴うこともあります。
または、まったく自覚症状がないとか鈍い痛みだけのこともあり、これを「サイレントストーン(沈黙の石)」と呼びます。

症状の違いは結石の大きさや存在している場所の違いによります。
激痛があるときは、「腎杯頚部」、「腎盂尿管移行部」、「尿管」などの狭いところに結石が詰まって尿の流れを阻害しているからです。

痛みは腎臓のある背部から脇腹、下腹郡へと拡がり、しばらくして治まります。
また、男性では精巣、女性では外陰部にも痛みを感ずることがあります。
さらに、尿路の粘膜が結石によって傷ついた場合には血尿が出る、膀胱にある場合には頻尿や残尿感があります。

結石が「腎盂・腎杯」に留まっている時痛みは無いか、あっても鈍痛程度でおさまります。
ここで結石がサンゴ状結石のように大きくなりすぎ、「水腎症」など腎臓が機能しなくなるなどの合併症を引き起こすことがあります。
また、結石、特に感染結石により尿流の通過障害があると、腎盂腎炎から「敗血症」という怖い病気を誘発しますから速やかに専門医(泌尿器科医)を受診して下さい