2024/8/6

結石ができやすい人の特徴と予防法│【一般泌尿器科】(越谷・春日部)

尿路結石を予防するためにできること

尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる疾患で、泌尿器科外来でみられる疾患のなかでも頻度の高い疾患のひとつです。

尿路結石再発率が高く、食事や生活習慣の改善が行われない場合、80~90%が再発すると言われています。

しかし、適切な予防策を講じることで、再発のリスクを減少させることが可能になります。

本記事では、尿路結石の原因と再発のリスク、予防や再発防止のために心がけたい食事と生活習慣について、ご説明させていただきます。

~尿路結石の原因と再発のリスクについて~

【尿路結石の原因】

ほとんどの尿路結石は、はっきりとした原因がわかっていません。
発症には様々な要因が関与していて、食生活や生活習慣遺伝や体質基礎疾患尿の流れを妨げる病気尿路感染症などが関わっていると考えられています。

【尿路結石の再発防止が重要】

結石は、自然排石が可能と判断される場合は、内服薬や水分摂取によって体外への排出を図りますが、結石が大きいなど自然排石が困難な場合は、結石を照射して細かく砕く方法(砕石治療)や、内視鏡を用いた治療法、手術療法などがあります。
しかし、治療法に関わらず再発するケースは多く、初めて結石(カルシウム結石)が治療された人での5年以内の再発率は45%になり、治療後に食事指導や生活指導が適切になされない場合は、80~90%が再発すると言われています。結石が認められた場合は、予防や治療だけでなく、再発防止に努めることが重要であることがわかります。

●なぜ結石は再発しやすいのか?

これまでの説明の通り、尿路結石は、一度結石を除去しても再度形成される可能性が高い疾患で、これは、結石が出来る要因として食生活の欧米化や生活習慣体質・遺伝などが関わっているためと考えられています。
具体的な要因を以下にまとめます。

~結石ができやすく(再発しやすく)なる特徴~

【食生活】

  • 動物性たんぱく質の過剰摂取
  • 塩分・糖分・脂質の過剰摂取
  • 野菜不足、カルシウム不足
  • 朝食を抜いて夕食を沢山食べるなど、食事が不規則
  • シュウ酸の多い食品(ほうれん草、ナッツ、紅茶、チョコレートなど)の過剰摂取

【生活習慣や環境】

  • 肥満
  • 運動不足
  • 夕食後にすぐ寝てしまう
  • 水をあまり飲まず、尿が濃い状態が多い
  • 汗を多くかくような、暑い場所で仕事をしている

【その他】

  • 腸の吸収異常や腎臓の機能異常などの代謝異常がある
  • 糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある
  • 尿路感染がある、尿流に停滞がある
  • 尿中のカルシウムや尿酸の濃度が高い(体質、遺伝的要素)

これらの特徴のなかでも、特に食生活の欧米化生活習慣が、尿路結石の形成と大きく関わっていると考えられています。
魚中心の和食に比べて、欧米型の食事は高たんぱく・高脂肪で、これらの食事は尿中のシュウ酸、尿酸などを増やし、結晶をできやすくするうえ、肥満のリスクを高めます。
過去の報告によると、尿路結石症は、メタボリックシンドロームの患者が多いことがわかっています。尿路結石を予防したいかた、再発防止に努めたいかたは、まずは食事を見直すことが推奨されます。

~尿路結石を予防する食生活~

  • バランスの良い食事をとる
    動物性タンパク質・動物性脂肪とりすぎない
    動物性タンパク質・動物性脂肪を多くとると、尿中のシュウ酸・尿酸が増えて、結石の元となる結晶ができやすくなります。
    シュウ酸を摂りすぎない
    シュウ酸とは食べ物のアクの部分で、カルシウムや鉄分の吸収を阻害する働きがあります。シュウ酸を摂りすぎると尿中のシュウ酸が多すぎる(飽和)状態になり、腎臓内でシュウ酸などの成分が結晶化して、結石ができやすくなります。
    日常的な嗜好品として紅茶、コーヒー、玉露、チョコレート、ココア、ピーナツ、アーモンドが、野菜としてほうれん草、キャベツ、ブロッコリー、タケノコ、バナナなどがあげられます。なお、野菜は茹でるとシュウ酸が減ります。これらの摂取量に気を付けて、摂取の工夫をすることをお勧めします。
    塩分、糖分、アルコールをとりすぎない
    塩分や糖分をとりすぎると尿中のカルシウムの排泄が増え、結石形成につながるといわれています。アルコールは、一過性に利尿作用がつきますが、その後尿が少ない状態になり、結石形成の危険性が増します。
  • 3食の食事は均等にとる
    例えば、朝食を抜いて夕食をたくさん食べた場合、夕食後に結石の成分が大量に排出され、結石が出来やすくなります。
  • 食後、眠るまでの間を4時間以上あける
    結石の成分となる物質は食後2~4時間に排出されますが、その間に眠ってしまうと尿中に結石の成分となる物質が多く蓄積されて、結石が出来やすくなります。また、睡眠中は水分の摂取と排出が行われないため、尿が濃縮されて結石が出来やすい傾向にあります。
  • 水分を多めにとる
    水分が不足すると尿が濃い状態になり、結石が出来やすくなります。小さな結石が出来ていた場合は、水分を多くとることで自然排出にも繋がります。

【専門医の指導による再発予防】

一度結石ができたことがあるかたは、再発予防の一つとして、体内にできた結石の成分を調べ、専門医による食事指導や生活指導のもと、通院をしながら予防を行うという方法があります。もしそこで代謝異常が認められる場合は、食事療法や薬物治療によって、それぞれを是正します。

結石の再発予防には、要因となるものを特定することが大切になります。結石が出た場合は、泌尿器科を受診して身体や結石の状態を調べ、再発や悪化を予防することをお勧めいたします。

~おわりに~

尿路結石は原因不明のケースが多いですが、背景として食生活を中心とする生活習慣が大きく関わっていると考えられています。予防と再発防止のためには、生活習慣の改善と水分摂取などによる予防対策が大切になります。定期的に検診を受けることも効果的ですので、心がけていただければと思います。

少しでも気になる症状やお困りのことがありましたら、クリニックまでお越しください。

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