2025/2/27

花粉症薬による泌尿器症状の影響と対策について

春先になると、多くの人が花粉症に悩み、花粉症薬を服用する機会が増えます。

しかし、これらの薬に含まれる「抗アレルギー剤」や「抗ヒスタミン薬」の影響で、
一部の人に「トイレが近くなる」「尿が出にくい」といった泌尿器系の副作用が現れることがあります。

なぜ、このような症状が起こるのでしょうか?
本記事では、その原因と対策について解説いたします。

抗アレルギー剤・抗ヒスタミン薬の作用と副作用

抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応の原因となるヒスタミンの働きを抑えることで、くしゃみ・鼻水・目のかゆみなどの症状を軽減します。花粉症薬のほか、乗り物酔い防止薬や睡眠薬などの市販薬(OCT薬)にも含まれています。

しかし、これらの薬の多くは「抗コリン作用」を持ち、副交感神経の働きを抑えることで、泌尿器系に影響を及ぼす場合があります。

抗コリン作用と泌尿器症状

抗コリン作用は、自律神経のうち「副交感神経」の働きを抑えることで、さまざまな身体機能に影響を与えます。特に泌尿器系に対しては、以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 尿が出にくくなる(排尿困難
  • 膀胱の収縮が抑制され、尿を排出しにくくなることがあります。

  • 尿意が頻繁に起こる(頻尿
  • 尿が膀胱にたまりにくくなり、少量でも尿意を感じやすくなります。

  • 残尿感
  • 尿が十分に排出されず、スッキリしない感覚が残ることがあります。

【その他の副作用】

  • 眠気や口の渇き
  • 長期間の服用や過剰摂取による肝機能・腎機能への影響
  • 薬の飲み合わせによる副作用の増強や新たな副作用の発現

花粉症薬を服用しても、すべての人に副作用が現れるわけではありません。
では、どのような人が影響を受けやすいのでしょうか?

薬の影響を受けやすい人の特徴

以下のような方は、特に抗ヒスタミン薬の影響を受けやすいとされています。

  • 前立腺肥大症のある男性
  • もともと尿の流れが悪くなりやすい状態にあり、抗ヒスタミン薬の影響でさらに排尿が困難になることがあります。

  • 過活動膀胱のある方
  • 頻尿や尿意切迫感がある方は、抗コリン作用により症状が悪化する場合があります。

  • 高齢者
  • 加齢により泌尿器の機能が低下しやすく、副作用の影響を受けやすくなります。

薬の影響を避けるための対策

花粉症の症状を抑えつつ、泌尿器への影響を軽減するためには、以下の対策が有効となります。

  • 第2世代抗ヒスタミン薬を選ぶ
  • 第2世代抗ヒスタミン薬は、従来の第1世代に比べて抗コリン作用が弱く、副作用が軽減されています。
    特に、フェキソフェナジンやロラタジンは、眠気や口の渇き、泌尿器への影響が少ないため、選択肢の一つとなります。

  • 医師や薬剤師に相談する
  • 花粉症薬による副作用は個人差があるため、症状や持病を考慮した適切な薬の選択が重要です。服用に不安がある場合は、医師や薬剤師に相談し、副作用のリスクが低い薬を選ぶことを推奨いたします。

~まとめ~

抗ヒスタミン薬は花粉症の症状を抑えるのに有効ですが、一部の人には泌尿器系の副作用が現れることがあります。特に、前立腺肥大症過活動膀胱のある方、ご高齢の方は注意が必要です。

適切な薬を選び、必要に応じて医師に相談することで、花粉症対策と泌尿器の健康を両立させることができます。花粉症にお悩みのかたは是非早めの対策を心がけ、花粉の多い季節を快適に過ごしましょう。

※病気の症状等に関しては、下記のページをご確認ください。

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いわさ泌尿器科クリニック(さいたま・越谷・春日部)
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